HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第54回 「大変化」

sea change (態度・状況などの)完全な変貌、大変化

After having a new president, the company saw a sea change in their sales strategy.

新しい社長が就任して以来、会社は販売戦略で大きな変化が生じました。

 sea changeはシェイクスピアの「テンペスト」に出てきた言葉です。「大きな変化」という意味で用いられました。それが転じて現在でも「大変化」「完全な変貌」を表します。ニュアンスとしては「良い方への転換」です。後ろにはinが付き、sea change in policy(政策の大々的な変更)、sea change in business(ビジネスの大変化)という使われ方になります。複数形にはならず、一般的には単数形です。
 ところでseaは中学校で学ぶ単語ですが、実にたくさんの意味があります。「海」そのものだけでなく、物事の多さを表す際にも使われます。たとえば、a sea of troubles(多くのやっかいごと)やa sea of flame(火の海)という具合です。ちなみに「ナマコ」はsea cucumber、「タツノオトシゴ」はsea horseです。何となく形から想像できますよね。
 私は紙の辞書が大好きで、このコラムを書く際にも紙の辞書を引きながら、「ついでに」色々な表現を読むようにしています。今まで知らなかった単語やフレーズを見つけると実に嬉しくなります。こうした「ついで学習」は何とも楽しいものです。


第53回 「乗り越える」

negotiate(悪路や難所など)を乗り越える、克服する

The truck was unable to negotiate the steep mountain.

トラックは険しい山を越えることができませんでした。

 今回ご紹介するのはnegotiateです。通常は「交渉する、協議する」という意味があります。一方、略式表現では、険しい道などを「乗り越える」という状況を指します。
 私がこの表現に出会ったのは、たまたま聞いていたAFNラジオでした。AFNではアメリカ軍の歴史やアメリカ史などを数分間スポットで流しています。私が耳にしたのはアメリカの幌馬車の歴史に関するエピソードでした。詳しい内容は覚えていないのですが、幌馬車が改良され、"negotiate the steep hill"という表現が出てきたのです。それまでは急な坂を上るのもままならなかった幌馬車がどんどん良くなっていったという内容でした。
 私はちょうど身支度中だったのですが、中断して辞書を引いたところ、上記の意味であることがわかりました。こうして何かを経験しながら調べたことは結構記憶に残るものです。ぜひ皆さんも、ひと手間を大切にしながら英語の学習を続けていってくださいね。


第52回 「一躍有名になる」

be catapulted into fame  一躍有名になる

Once she released her album, she was catapulted into fame.

アルバムをリリースするや、彼女は一躍有名になりました

 catapultはあまり聞き慣れない単語ですが、イギリス英語ではY字型の「ぱちんこ」を指します。また、軍事用語では「カタパルト」(空母の飛行機射出機)という意味もあります。もとはギリシャ語から生まれた言葉です。
 catapultを動詞で用いると、「(飛行機など)カタパルトで射出する」という意味になります。また、今回のように比ゆ的な表現としても使われます。be catapulted into fameは「一躍有名になる」です。似たような表現では、He was catapulted into the limelight.(彼は一躍脚光を浴びた)があります。
 ところでfameと言えば、the Hall of Fame(殿堂)という言葉があります。「殿堂入りを果たす」はbe admitted to the Hall of Fameまたはbe inducted into the Hall of Fameです。有名なものではニューヨークのアメリカ野球殿堂博物館(A National Baseball Hall of Fame and Museum)があります。また、イングランド北西部プレストン市にあるサッカー博物館(National Football Museum)内にはイングランドサッカー殿堂(English Football Hall of Fame)が設置されています。


第51回 「とてもきれい」

spick-and-span とてもきれい、真新しい、こざっぱりした

Did you clean the room all by yourself? It's spick-and-span

自分一人で部屋を掃除したの?とてもきれい

 今回ご紹介するspick-and-spanは「とてもきれい、真新しい、こざっぱりした」という意味があります。16世紀ごろの英語では、spickが「くぎ」、spanは「木質チップ」という意味でした。その頃は航海が盛んな時期で、船に使われていたくぎや木材は新品を使っていたのだそうです。実際に「とてもきれい」という意味になったのは18世紀中ごろだそうです。同様の意味ではspan-newも使われます。
 spick-and-spanはspinとspanのsが頭韻を踏み、andで結ばれています。「頭韻を踏む」は英語でalliterateと言います。alliterated phraseは他にもneck-and-neck(接戦の)、round-robin(総当たり戦)、hand-to-hand(接近しての)などがあります。
 なお、「こざっぱりした」は他にもneat and cleanやnice and cozyといった表現も使えます。He is neatly dressed.(彼はこざっぱりとした服装をしている)という具合です。


第50回 「難局を脱して」

off the hook難局を脱して

The team was off the hook by winning the World Championship.

そのチームは世界選手権に勝利したことで、難局を脱しました。

 off the hookは「難局を脱して」という意味で、主に会話で使われます。もとは釣り関連の言葉です。魚にとって釣り針(hook)にかかれば大変なことになります。けれどもかからなければ魚にとっては良いわけですよね。よってこうした状況が転じて「難局を脱して」という意味になりました。
off the hookは他にも「受話器が外れて」という意味もあります。たとえばI left the phone off the hook.であれば「私は受話器を外しておいた」となります。
 ところでhookという単語は高校で学びますが、たくさんの意味を持ちます。興味深いのは「小文字のかぎ状の部分」という意味です。これはqやgの下に出ている部分を指します。さらに、音符「♪」などの旗の部分もhookと言います。
 なお、off the hookの反対表現はon the hook(困難な立場に置かれて)です。一方、set the hookは「わなを仕掛ける」です。同じ単語でも前置詞が変わるだけで意味が異なるのも興味深いですよね。



2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。